海運業界について
海運業界の現状
日本国内で事業を行っている海運業社は大手3社によりほぼ独占状態と言えるでしょう。
すなわち日本郵船(NYK)、商船三井(MOL)、川崎汽船(K-Line)で、他にも貨物もしくは旅客フェリーなどを行う地域別の企業が存在しています。
大手三社が取扱っている貨物は種類が異なり、日本郵船は総合物流事業を世界展開しているのに対し、商船三井や川崎汽船はコンテナ船と不定期専用船舶を多く運行させています。
海運会社は売上が2兆円を超えるような大規模な企業であるのに対し、採用人数は少ないというところが大きな特徴です。
全体的に少数精鋭で事業を行っているというところで共通しており、その分給与待遇はかなり高い水準となっています。
平均年収が1000万円近い数値となっていることから、入社はかなり難しいですが、採用をされることで安定的な仕事をしていくことができる業界と言えるでしょう。
日本は島国という地域特性があることから海運業が占める役割は非常に大きく、特にエネルギー資源となる天然ガス(LNG)や原油、木材チップなどは重要な貨物です。
他にも自動車や穀物などの食糧の輸出入も大きな割合を占めており、勤務をする時には世界各国の港湾当局者と打ち合わせをしながら航路の決定をしていくことになります。
将来性、転職市場の状況
海運業そのものは今後も安定的な需要がある一方で、それを積載する船舶の問題は今後大きくなってくる問題です。
例えば鉄鉱石や石炭といったいわゆるばら積み貨物は、ここ数年需要の低下により過去最低の水準にまで落ち込んできています。
リーマンショック以前までは中国の資源需要が急増したことから、そうしたばら積み貨物船舶を大量に発注したということもあり、今後はそうした余剰船舶のスクラップ問題が海運業界全体の大きな問題になってくるでしょう。
海運業で働く場合は、そうした世界的な貨物需要をしっかりとつかんだ事業展開をしていかないと、ブーム中は良くてもそれが終わった途端に大きな損失となるといった現象が起こってしまうのです。
大手海運業とは別に、国内向けの「内航海運」も多く行われています。
日本の歴史を見ても明治時代以降海運業が盛んに行われたことが知られていますが、現在も鉄鋼製品や日用雑貨、紙類などは大半が海運によって運ばれています。
新聞用紙輸送を中心にする栗林商船や資材輸送を行う東海運といったところが代表的で、いずれも定期的に求人を出しているのです。
観光などに特化した佐渡汽船や東海汽船といった会社もあり、その場合は魅力的な旅客プランを提案するといった事業展開を行なっています。
そうした地方の海運業者の場合、大手三社のような高年収というわけではなく、一般的なサラリーマンと待遇は同じくらいです。