居酒屋業界について
居酒屋業界の現状
飲食産業は全体的に慢性的な人手不足となっています。
統計によると全国で営業している飲食店のうち、80.5%が従業員が不足していると回答していました(帝国データバンク調査)。
ちなみに人手不足を感じている企業数は全産業を合わせると約30%なので、飲食業界が非常に際立った状況に置かれているということが分かります。
中でも、特に人手不足が深刻とされている業界として居酒屋があります。
この原因はいくつかありますが、20年ほど前から数多く展開するようになったチェーン系居酒屋の乱立により、低価格帯での競争が激化してしまったということがまず挙げられるでしょう。
それに加えてここ数年で急激に若者人口の減少とアルコール離れが進み、それがますます低価格化に拍車をかけることになりました。
2015~2017年にかけての大きな動きとして、客単価はここ10年ほど横ばいであるのに対して利用客数が急激に増加をしており、それが従業員に対しての給与水準の低さに対しての業務の過密化を作り出してしまっています。
社会問題になった「ブラックバイト」問題も居酒屋産業大手のワタミでの過労死問題が発端になっていることから、現在も全体として労働条件が過酷な業界という印象が強くなっています。
しかし業界全体としてはお店の新陳代謝が進み、それまでになかった新規性のあるサービスが多くのお店で展開されているのです。
アルコールだけでなく食事メニューを充実させたり、アルコール提供に関しても「ちょい飲み」と言われるような1~2人で軽く利用できるサービスなどが代表的です。
将来性、転職市場の状況
居酒屋業界を見てみると、シェアのほとんどを大手チェーン系が独占していることがわかります。
業界最大手はモンテローザで「白木屋」「笑笑」「魚民」などを展開しています。
ただモンテローザは非上場企業であることから、売上高について上場している他の企業と単純に比較はできません。
上場企業が運営する居酒屋企業としては、ワタミ、コロワイド、アトム、大庄、チムニーといったようなところがあります。
現在は「和民」や「鳥貴族」といった低価格居酒屋が根強い人気であるのに対し、あえて提供する内容を専門分野に絞るというお店が増えてきました。
中でもコロワイドの「甘太郎」や「北海道」など、お店の独自色をアピールするブランドで店舗展開をしており、高価格でもよいものを食べたいという志向の顧客を取り込んでいます。
人材不足は常につきまとう問題であることから求人数は非常に多く、アルバイトから店長候補に昇格をするというシステムを導入しているお店も多数あります。
就職をする時には、業界全体の流れを把握することが生き残りのためのポイントになってくるでしょう。